高槻・上本町で味わう、軽やかなベビーカステラ「ベビカス命」
お祭りや縁日で見かけると、つい手を伸ばしたくなるベビーカステラ。 幅広い世代に親しまれているお菓子でありながら、普段から気軽に買える専門店は意外と多くありません。そんなベビーカステラを、日常の中でも楽しんでもらいたいという思いから、高槻市上本町に誕生したのが「ベビカス命」です。 目を引く店名と、和を基調とした落ち着いた店構え。そこには、ベビーカステラが大好きなオーナーの「本当においしいものを届けたい」という思いと、高槻への恩返しの気持ちが込められています。 6月3日のオープンから少しずつリピーターも増え、取材時にも商品を求めるお客さんが訪れていました。 今回は、ベビーカステラ専門店を始めたきっかけや、何度でも食べたくなる味づくりのこだわり、今後の展望について伺いました。

好きから始まった「ベビカス命」
「ベビカス命」のオーナーは高槻市出身。出身地である高槻から自分の店舗を始めたいという思いが、出店のきっかけのひとつでした。
数ある食べ物の中から選んだのは、昔から大好きだったベビーカステラです。
お祭りや縁日に出かければ、ベビーカステラを見つけては購入していたというオーナー。さまざまなお店の味を食べ比べる中で、同じベビーカステラでも、お店によって味や食べやすさに大きな違いがあることが気になったといいます。
「どうすれば、最後までおいしく食べられるベビーカステラを作れるのか」
その疑問をきっかけに、素材の組み合わせや甘さ、食感、焼き方を一つずつ見直し、自分が納得できる味を追求するようになりました。
完成した味は、何度も試食をして、ほかのベビーカステラと比べたときに違いを感じてもらえるか、幅広い人に好まれる味になっているかを確認。試作と検証を重ね、「これなら届けられる」と確信できたところから、「ベビカス命」はスタートしました。
「好きなときに買える場所が少ない」ことに感じた可能性
ベビーカステラは、お祭りやイベントではよく見かける一方、たこ焼きなどのように、食べたくなったときにいつでも買えるお店はそれほど多くありません。
オーナー自身も、ベビーカステラが好きなのに、普段から気軽に買える場所が少ないことを感じていました。
「専門店が少ないからこそ、本当においしいものを作れば、同じようにベビーカステラを求めている人に喜んでもらえるのではないか」
もともと食べることが好きで、各地へ足を運んでは、その土地ならではの料理や評判のお店を幅広く食べ歩いてきたオーナー。積み重ねてきた食の経験と、自分の味覚への自信も、新しい一歩を踏み出す後押しになったといいます。
飲食店で働いた経験はなかったものの、大好きなものだからこそ妥協せず、一から研究を重ねました。経験の有無ではなく、「自分が心からおいしいと思えるものを届けたい」という思いが、お店の原点になっています。
重く残らない、すっきりとした後味
「ベビカス命」が大切にしているのは、ひと口目のおいしさだけではありません。
オーナーが目指したのは、数を食べても後味が重く残りにくく、最後まで自然に手が伸びるベビーカステラです。
取材時のお話では、ホットケーキミックスや生クリーム、カスタード、バニラエッセンスなどを使わず、素材の配合や作り方を細かく調整。甘さの雑味やくどさを抑え、すっきりと食べられる味に仕上げています。
編集部も取材後に18個入りをいただきました。一般的なベビーカステラを続けて食べたときに感じることのある、口の中の水分を奪われるような感覚や後味の重さが少なく、気づけば最後まで食べ進めてしまう軽やかさが印象的でした。
「12個では少し足りない」「18個を食べても、もう少し食べたい」という声もあるそうで、最もよく選ばれているのは40個入り。家族や友人と分ける人だけでなく、一人で楽しむために40個を購入する人も少なくないそうです。
中には100個を一人で購入するお客さんや、二人で来店して100個ずつ注文するお客さんもいるのだとか。オーナー自身も驚くほどの注文ですが、それだけ何度も手が伸びる食べやすさが、「ベビカス命」の大きな魅力です。
取材時の主なラインナップは、12個400円、18個600円、40個1,200円。購入後は、24時間以内を目安に味わってほしいとのことです。
同じ分量でも同じ味にならない、ベビーカステラの奥深さ
試作を重ねて納得できるレシピにたどり着いた後も、味を安定させるまでには大きな苦労がありました。
ベビーカステラの生地はとても繊細で、夏と冬の気温差はもちろん、冷蔵庫内の温度、材料を混ぜる回数や速度など、わずかな違いでも甘みや食感、焼き上がりの重さが変わるといいます。同じ材料を同じ分量で使っても、毎回まったく同じ仕上がりになるとは限りません。
特に「ベビカス命」では、独自に組み立てた素材の配合と工程によって味を作っています。そのため、気温や生地の状態を見ながら細かな調整を重ねることが欠かせません。
「ベビーカステラは、思っていた以上に奥が深いお菓子でした」
そう話すオーナーですが、試行錯誤の時間を苦労だけとは感じていません。好きなものと向き合い、少しずつ理想の味に近づいていく過程そのものが楽しく、納得できる一品が完成したときの喜びも大きかったと振り返ります。
シンプルに見える小さなひと粒の中に、日々の気温や状態を読み取る技術と、味を守るための細やかな仕事が詰まっています。
世代を問わず入りやすい「和」の店づくり
「ベビカス命」の店頭や公式Instagramは、和の雰囲気で統一されています。
オーナーがベビーカステラのルーツを調べる中で、日本で生まれたお菓子であることを知り、その背景を大切にしたいと考えたことが、和を基調とした店づくりにつながりました。
もうひとつの理由は、若い世代だけでなく、子どもからご年配の方まで幅広い世代に味わってもらいたいからです。
クレープをはじめとするスイーツのお店は、若い世代に向けた華やかな外観も少なくありません。一方、「ベビカス命」が目指したのは、年齢を問わず、誰もが気兼ねなく立ち寄れるお店でした。
落ち着いた和のデザインにすることで、若い人には新鮮に、ご年配の方には親しみやすく感じてもらえる空間に。インパクトのある店名とは対照的な、温かく入りやすい雰囲気が作られています。


店名の「ベビカス命」にも、明確な狙いがあります。
「ベビーカステラが好きな人なら、一度は食べてみたいと思ってくれる名前にしたかった」
一度聞けば忘れにくい、潔くまっすぐな名前。その言葉どおり、ベビーカステラへの強い愛情と覚悟が伝わってきます。
「おいしい」のひと言で知った、店頭に立つ楽しさ
オープン当初、オーナーは味や接客がある程度定着すれば、早い段階でスタッフに店舗を任せることも考えていました。
ところが、実際に店頭に立ち、お客さんと一対一で接する中で、その考えは少しずつ変わっていったといいます。
初めて購入した人から「おいしかった」と声をかけてもらうこと。以前来てくれた人が、もう一度店を訪れてくれること。そうした一つひとつの反応が、自分の作った味を認めてもらえたようで、想像していた以上にうれしかったそうです。
飲食店で働いた経験がなかったからこそ、お客さんから直接感想を受け取れる喜びも新鮮でした。
「飲食店の人が『おいしいと言ってもらえることが一番うれしい』と話す気持ちが、実際に店を始めて初めて分かりました」
商品を販売するだけでなく、お客さんとのやり取りそのものが店を続ける楽しさになっている現在。取材中に訪れたお客さんへの気さくな声かけからも、店頭での時間を大切にしていることが伝わってきました。
一時的なブームではなく、長く親しまれるお菓子へ
今後についてオーナーが何より大切にしているのは、「一過性のブームで終わらない店にすること」です。
目新しさだけで注目を集めるのではなく、ふと食べたくなったときに思い出してもらい、何度でも足を運んでもらえる。そんな日常に根づいたお菓子として、これからも味を磨き続けたいと考えています。
同時に、「ベビカス命」の味を、より多くの人に届けたいという思いもあります。高槻から始まった店を少しずつ広げ、将来的には新たな店舗の出店も視野に入れているそうです。
ただ店舗数を増やすのではなく、現在の味をきちんと守りながら、知ってもらえる地域を広げていく。その先に、地域を越えて親しまれるベビーカステラ専門店という未来を描いています。
大好きなベビーカステラをとことん追求して生まれた「ベビカス命」。お祭りの日だけではなく、何でもない日にも食べたくなる味を、ぜひ一度楽しんでみてはいかがでしょうか。
店舗情報
店名
ベビカス命
住所
大阪府高槻市上本町6-7
公式Instagram
https://www.instagram.com/bebikasuinochi/





